自転車の かごに柚子入れ 家路はるか
今夜の鍋のゆずポンにする柚子を買って、よだれをためながら自転車でいそいそと帰る家路は遠いという相変わらずの食い意地で生きる字余りの句である。
季語は柚子で晩秋である。
まあ、秋も終わりいよいよ冬に近づくと、そろそろ鍋物の季節である。
鍋物にはなんといってもポン酢であるが、さらに柚子を絞ってゆずポンとするとこれはまたたまらん香りと風味でこたえられない味となるのである。
しかし、柚子を常に常備している家庭なんてものはないので、あたしもご同様の状態ではたと「ああ、柚子がない、柚子がなくて鍋物を食うのはカレーなしてカレーライスを食うようなものだ」とわけのわからない結論に達して焦るわけである。
そこで柚子を買いに自転車で走って行き、かごに入れていそいそと帰るわけであるが、これが早く食いたい一心で家までの距離が遠く感じられるのである。
ランニングの途中の銀行の前に止めてあった自転車でそんなことを思い出して1分で一句をしたためたわけである。
ツイッターへの投稿では「自転車のかごにゆず入れ家路はるか」と柚子がゆずになっているが、「のかごにゆず入れ」では何がなんだかわからんという向きも当然あろうかということでブログ本編では漢字で柚子としたわけである。
晩秋の季語としては他に柿、林檎、栗、無花果、胡桃、酢橘、金柑、柑子、檸檬などがあり、実に俳句を作る上においては題材にことかかないわけであるが、自転車というとこの柚子の買い出しを思い出したところが食い意地大王のゆえんたるところである。
・象気功
0 件のコメント:
コメントを投稿